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「高価格」=「売れない」は間違った思い込み
114 ページ「 単価1万円の店販はアリ?ナシ? 」より
1989~90年、私の社会人デビューは「ハーゲンダッツ」という高級アイスクリームの担当から始まりました。東北の地方都市で暮らす私はハーゲンダッツなどというブランドは名前すらも知らず、当然の事ですが474mlで850円もするアイスクリームがこの世に存在し、しかも売れていることなど全く知りませんでした。
当事の高級アイスクリームの二大ブランドである「レディボーデン」や「リーベンデール」すらほとんど口にしたことも無い庶民でしたので、こんな高い商品が売れるのかね?と半信半疑でしたが、東京ではガンガン売れてると聞き、やっぱり東京は凄いね~などと人ごとのように考えておりました。
メーカーは、「とにかく一度試食させるだけでいい」とのことでしたので、商品には絶対の自信があるようでした。確かに食べたら圧倒的に美味いわけで、私は薄給の身ながら会社から買って帰っては家族や友人に振舞い、自慢していた事を思い出します。(そういえば、この当事から5千円のシャンプーを私は使っており、意外とこだわりにはお金を使うタイプだったのかもしれません)
さて、その後ハーゲンダッツはどうなったのか?
何と2年もしないうちにコンビニエンスストアの全ての店舗、生協など地元スーパーの全ての売り場にハーゲンダッツは並んだのです。そして私はこのときの経験から、「高いから売れないと言うのは嘘である」と、信じるようになりました。
また、我が家でハーゲンダッツを初めて食べた友人からも、「あのアイスの名前を教えてくれ!」、「1個譲ってくれ!」、「どこに売っている?」などと問い合わせも多く、「お金持ちしか買わない」というのも嘘であることに気がつきました。(同級生は所得が私と同じくらいで、手取り11万くらいでした)
その後、美容メーカーに転職し、1万5千円のシャンプー、2万5千円のシャンプーの新発売を営業のトップとして経験しましたが、2度に渡る価格への挑戦もそれほど難しくなく突破でき、「高価格」=「売れない」と言うのはやはり間違った思い込みであると確信しました。
とは言え、数十万、数百万という金額の贅沢商品は手が出にくいことも事実です。ですから正確に表現すれば、誰にでもちょっと冒険すれば手に入る「3万円未満」の商品に関してのみ、「高価格」=「売れない」は誤った思い込みであり、「高価格」=「ちゃんと価値を分からせないと売れにくい」というように、正しく表現すべきだと私は思います。
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