店販コラム「美容室 店販の参考書」

ネット販売との戦いと、セレクトショップへの進化

152 ページ「 「なんて言えばいいか わからない……」がなくなる! お助けトーク集 」より

「店販活動」における最大にして唯一ともいえる構造的な問題として、「インターネット」による「割引販売」があります。この2つの条件が重なったとき、対抗する手段はそんなに多くありません。(但し、安くない場合はさほど悪影響を受けていません)

ただ、「ネット販売」に対抗する最大の武器は「ネット業者」が決して得ることは出来ない、お客様からの「尊敬」・「信頼」・「好き」・「憧れ」・「感謝」であることは間違いありません。どうせ買うのならば「あなたから買いたい!」というお客様からの支持を背景にして、今後も諦めることなく、正々堂々と真っ向から立ち向かっていきましょう。

今月は「ネット販売」を活用するお客様へ対抗する「トーク術」をご紹介します。

特に「店販キャンペーン」を企画する場合は、一時的であれ「ネット販売」に対抗できる割引特典があると思われますので積極的にご活用ください。

<ネット購入者へのトークポイント>

  1. 「送料」が発生することで実はそんなに安くなっていない場合がある
  2. 明日、すぐに使えない不便さ
  3. 宅配便受け取りの煩わしさ(多くが再配達となり、中々手元に届かない)
  4. 「品質保証」や「修理対応」が受けられないなどの保障問題
  5. 「品質劣化品」や「模造品」の可能性(模造品が見つかったケースが実際にあった)

これらを理解していただくことで、「ネット販売」の利用に多少なりともブレーキがかかることを期待します。美容品は「生もの」に近い印象を持つ方もいますので、「新鮮な商品を適正な品質管理のもとでお届けする」という、サロンならではの購入メリットを打ち出すことも大切だと考えています。また、当店は「正規販売店です」と、口頭でお伝えすることも、お客様の印象に好影響を及ぼす可能性があります。

「ネット販売」について補足を加えたいと思います。「ネット販売」で売れる商品の多くは「ネームバリュー」や「ブランド」を確立した商品。つまり「人気商品」、「売れる商品」に限定されます。もちろん知名度を高めたのは美容師さんの努力によるものですし、販売されることは全く望みませんが、「インターネット」上で数多くの露出があること。人気があること。この点のみを切り取って考えてみれば、店販にとって追い風であることも事実です。

従いまして、「ネット露出(ネット販売)」が少ない商品だけを選択し、取り扱うことを私はお勧めしておりません。また、「サロンオリジナル製品」のみで展開することも同様にお勧めしておりません。

美容室はファッションにおける「情報発信」の役割を担いますし、「流行」に敏感なお客様は、「雑誌」や「ネット」で露出のあるアイテムを実際に手に取ってみたいと願っています。

そういったお客様の願望を満たしながら、ビジネスとしてもしっかりとした「店販売り上げ」と「利益」を勝ち取っていく。

これらを両立するためにどのような商品を選択していくか?

「品揃え」とも「商品ミックス」とも呼ばれますが、私は「セレクトショップ」の呼称を提案したいと考えています。

最後に・・・「不正流通」はメーカーサイドの努力なくして改善していくことは難しい問題です。「メルカリ」など、新たな流通の仕組みが次々に誕生し、いたちごっこになりがちな「不正流通問題」ですが、諦めることなく対策を講じて戴き、サロンの利益を守ってくれることを心から願っています。