店販コラム「美容室 店販の参考書」

「好感の持てる、知識が足りない美容師さん」は確かに売れるが・・・

52 ページ「 『どんな商品か?』より『誰が勧める商品か?』 」より

ご提案する商品の原材料から特徴までを完全に把握し、完璧な理論武装をした上でお客様に対峙することは、美容師さんがプロである以上必要な条件だと私は思っていますが、これだけでお客様が買いたい気持になる事はまずありません。

むしろこれだけだと、「上から目線」で知識をひけらかされたように感じる方々が多いだろうと私は睨んでいます。実際にたくさんの「知識地獄」にはまってしまった営業マンを見てきましたが、それは「研究スタッフ」のトークとしては抜群かもしれませんが、「営業の言葉ではないでしょう~」と突っ込みを入れそうになることもしばしばでした。

お客様は「好感の持てる方」から「しっかりとした知識を背景にした提案」を受けたいと願っている事を皆様には改めて受け止めていただきたいと思います。念のために逆の言い方もしておきますね。「しっかりとした知識を背景にした提案」が出来る方で「好感の持てる方」から買いたいとお客様は願っています。

要するに、どちらか一方だけでなく、二つの要件を満たしてくれる美容師さんからの提案を受けたいと・・・そしてそのような印象を与える美容師さんからは買いたい気持が芽生えやすいと受け止めていただければ結構です。 

尚、「好感の持てる方」で「知識が足りない方」という、人間性一本勝負の美容師さんや営業マンも結構な数で存在しますが、確かに「知識一本勝負」の方々よりは好結果が出る可能性がありますが、「何が良いのか分からない」とか、「使い方がよく分からない」などのマイナスをお客様はニガニガしく思っており、「買ってあげたくても買いにくい」との愚痴を良く耳にします。これが最後には人間性の問題にまで発展し、「あの人はいい人なんだけどね~」と言われる可能性を厳しく指摘しておきたいと思います。

つまり、お客様からの好感や信頼に甘えていては駄目ですよ!という事です。

プロのプロたる所以は、美容に関係する事に限っては少なくとも素人レベルから見れば「圧倒的」でなければなりません。また、そうであって欲しいと期待されている事を忘れずに、努力を続けて頂きたいと思います。

ただ、実際のところ、「好感の持てない方」が「完全なる知識を背景に提案」しても、まず売れることはありませんが、「知識はいまいちだけど」、「好感の持てる方」からは多くのお客様が購入している現実を見ると、やはりお客様は「何を?」よりも「誰から?」の方に重きを置いていることは間違いなさそうです。