店販コラム「美容室 店販の参考書」

「ホームカラー」を絶対買わないお客様とは?

16 ページ「 美容室でカラーをするお客様は、みんな店販の一級見込み客 」より

テレビを見れば「ホームカラー」の宣伝を見ない日はありません。

スーパーやドラッグストアでは、600円程度の価格帯から多くのバリエーションで用意されているのが確認できます。最近では、新たに「カラーバター」という製品が登場し、「カラートリートメント」はすでに定番品として爆発的に売れている様子です。

でも・・・でもです。

美容室にはカラーを希望されるお客様が40%以上、確実に存在します。もしもお客様の選ぶ基準が「価格」だけであれば、ホームカラーの5倍~10倍はかかる美容室でのカラーリングメニューは、無くなってしまうでしょう。

ですが、絶対にそうはなりません。そこには【プロのカラーリング技術】を求めるお客様、【自分染めによる染め残しや染めムラ】を嫌うお客様、【肌荒れやかぶれ】を気にするお客様、そして何よりも【あなたにやってもらいたい】という、人間関係を大切に考えてくださるお客様など、「高くてもより上質の価値を求めるお客様が一定数存在する」からです。このようなお客様に対し、全力で「ホームカラーは安くて便利ですよ!」とお勧めしたら、「価格だけで選んでいるわけではない」とお叱りを受けることになりかねません。

つまり、「ホームカラー」をお勧めしたとしても、サロン以外でのカラーリングは検討の余地も無い。というありがたいお客様が美容室には一定数存在していて、少なくともその方々に限っては「良い物なら、高くても買う」お客様であると考えられます。ということであれば、市販のカラー剤だけでなく、シャンプー・トリートメント・スタイリング剤などに対しても、同じような価値基準で判断してくれる可能性があります。

また、「サロンカラー」を好むお客様は、「そうでないお客様」と比較した場合、美への意識が高く、「髪の質感にもこだわるお客様」である傾向が強いことから、「こだわりのホームケア商品」を求める可能性は非常に高いと考えてよいでしょう。

質感を見極められるプロならではの「こだわり」を形にした商品、更に上質の効果効能が期待できる商品、安全性やECOに配慮した商品、自分との相性や適性を診断の上で使用する商品など、特別な価値を求めるお客様は一定数必ず存在しているはずです。

そういうお客様を対象にして考えて見ると、「店販アプローチ」の意味とは、お客様自身が何らかの理由で選び、今現在使用している商品を、もっと「高品質」・「高機能」・「高安全性」そしてあなたと「相性の良い」物に買い換えてみませんか?という、云わば「アップグレードの提案」・「マッチングの提案」という表現に変えることが可能です。つまり、こちらを使用すれば「あなたの望みはもっと叶えられる可能性がありますよ!」という提案こそが美容室での物販ということになるのです。

日進月歩する医学と科学ですが、その道の専門家と言われる方々が先頭でその利便性や効果効能を証明し、大衆向け商品はその特徴の一部を真似し安価に提供するのがマーケットの常識です。

ヘアケアを筆頭にビューティに関わる商品を先頭で牽引する役割を担うのは、印象を決定付ける顔を担当する美容師さんです。今後も「お買い物先選び」で小売店などに負けているわけにはいきません!