店販コラム「美容室 店販の参考書」

「店販が苦手な美容師」から抜け出す行動戦術!!

お客様が安心する魔法の言葉とは? ページ「 44 」より

「買ってもらえない美容師さん」から、「買ってもらえる美容師さん」に変わるには、第一に「苦手意識」の完全ぶっ壊しが必要です。

とは言え、今まで散々トライしてきた結果「買ってもらえない美容師さん」に辿り着いてしまった訳です。その努力の量が多ければ多いほど、苦手意識は強烈なものになっていると想定されます。

しかし、私はこういう方々でも「買ってもらえる美容師さん」になる方法はあると断言します。

1つの行動戦術をご紹介します。

まずは「もっとも好き」な商品、「もっとも得意」な商品「1アイテム」だけを選択し、それ以外の全てを切り捨てると決める事です。

「選択肢を無くし」、一番自分が「好き」で「得意」なものだけに一点集中してご提案をしていくのです。

「好き」な商品である以上、自らも好んで使用していることでしょうし、その結果、「使用方法」や「長所・短所」なども知り尽くしているのではないでしょうか。そうなると、その商品「1アイテム」に関しては、絶対的なプロとして振舞うことが出来ます。

私は以前ヘアケアメーカーに勤務しておりましたが、ダントツに成績が悪かった私でも、社内で一番売れていた商品がありました。それは、少ないが熱烈なファンに支持されて生き残っていた「スクワランオイル」というスキンケアです。

主流の商品ではありませんので、トップセールスチームは見向きもしないマニアックアイテムです。

何故、私がこの商品をたくさん販売出来たのか?そのエピソードをご紹介します。

あるとき、店販が苦手な美容師さんに、「わが社の商品で一番好きなアイテムはどれ?」と質問したところ「スクワランオイル」と答えてくれました。

私は驚きました。こんなマニアック商品を一番好きだと言ってくれる美容師さんもいるんだと・・・

そして、しばらく考えたのち、彼に実績を出してもらうための秘策を思いつきました。やり取りは下記の通りです。

:「ヘアケアは苦手なんですよね。もう勧めなくていいですよ!」
:「その代わり、“スクワランオイル”の専門家になりません?」・・・と提案しました。

すると、彼は

:「スクワランオイルならば提案するのは苦痛じゃない」と言ってくれました。

そこで、

:「どうせやるのならば “スクワランオイル” の販売にかけては日本一になってみませんか?!」
:「目指すのは自由ですし、遊び感覚で良いからやってみましょうよ!!」

と誘ってみると、

:「自信はないけれど、やれるだけやってみます」と言ってくれました。

(※このアドバイスはサロンオーナーの許可を戴いて提案しております)

その後、彼は冬のキャンペーンにおいて「スクワランオイル」を20本以上販売してくれました。価格も¥4,800なので決して安くはありません。

当時1か月でスクワランオイルを20本も販売してくださる美容師さんは他にいませんでしたので、彼は弊社のオイルに関しては事実上「日本一」の売上をあげたことになるのです。誰も知らないところで勝手に始まった「スクワランオイル販売コンテスト」において、見事に全国優勝したのです。

彼はこれをきっかけに自信を持ち、勧めるアイテムを拡大していきました。

「スクワランオイル」の次は「トニック」、そして「トリートメント」と新たな商品にチャレンジしていき、気がつけば「シャンプー」まで提案できるような美容師さんへと変貌を遂げ、年末期には30万オーバーの結果が出せるようになっておりました。

もはや、誰が見ても提案力のある美容師さんです。

私はその後も彼が実践してくれた、自分が「好き」で「得意」な商品1点に全精力をかける、「一点集中戦術」を提案し、「店販恐怖症」を乗り越えた美容師さんを多数輩出することに成功しております。

もっとも「好き」で「得意」な商品を選択し、そのアイテムを究めていくことで結果は出やすくなる。店販への苦手意識を乗り越えていくには優れたアプローチだと思います。